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弟バカと兄バカ【VitaminX 原作沿い 】

第10章 11月『王子様の超越』










「……………ふぅ。」



お客さんの数もまばらになり、
ClassXの教室の中の騒がしい雰囲気は
やっと収まってきた。


「………肩こった………。」


レジから手を離し、体を伸ばす。


あー、計算しすぎて、疲れた。






「………やっと落ち着いたわね……。
分かってはいたけど、凄い人気だわ。」


南先生がふぅ、とため息をつく。

無理しないでって、言ったのに、
結局動き回ってたなぁ、先生。



「……ええ、まぁ。お疲れ様です。」



南先生の言葉に一言だけ返事をして、
キッチンに向かった。












「…、お疲れ!」


「………お疲れ様。」


僕が向かうと、
兄さんがキッチンから顔を出した。
前髪を上に縛っていて、ヘンテコだ。


「………キッチン借りていい?」

「おう、いいぜ。」


兄さんの隣に入って
キッチンの中からティーポットを取り出す。


「………ん、紅茶か?」


「うん。この前、翼にいい茶葉貰ったから。」



僕は自分の私物から白い缶を出す。
本当は青色なんだけど、
これは翼仕様だから
白色の缶に赤い字で書いてある。


「へぇ、どんなの?」



「フォーナムアンドメイソン。」



「なんじゃそりゃ。」



兄さんは肩透かしにそう言った。

………子どもの頃両親が
たまに飲んでいた銘柄だから
兄さんも知ってるはずなのにな。



「………高いんだよ。これ。」



「へー。この落ち葉がか?」


「………………うん、この茶葉が。」


遠回しに兄さんの言い間違えを
修正して、ティーポットに茶葉をいれた。

そこにお湯を注げば、湯気が
ふわふわと舞う。


うん、いい香り。



「………よし。」



蓋を閉めてタイマーをかける。
あとは何分か蒸せば出来上がりだ。



「……先生、お疲れ!
思ったより空いてるじゃん。」

「あ、真田先生!」




………真田先生?

ちらり、とキッチンからホールを覗くと、
南先生と真田先生が話してるのが見える。


……………持っているのは、僕のカバンだ。


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