第10章 11月『王子様の超越』
「たっだいまー!………へへっ、
、ウエイター似合ってるよ!」
先生の後ろから来た悟郎も
にっこりと僕に笑いかけるが
その目には、涙の跡がある。
「ト、トゲー……」
トゲーが心配そうに南先生に呼びかけている。
瑞希は、何も言わないけど。
「…………………。」
……………何かあった、のかな。
なんか、様子が変だし。
「……先生、無理しないでくださいね。」
「えっ……?」
「手……お大事に。」
「……あ……よく分かったわね。」
僕がそう言うと南先生が驚いた表情をする。
「………悟郎も、元気出して。」
「えっへへ、
ゴロちゃんはいつでも元気だよ!」
「…………そう。」
悟郎は空元気を振りかざして笑った。
悟郎って僕が黙ってると怒るくせに、
自分は全部黙っちゃうんだから、狡い。
レジの前で3人と話していると、
後からひょこりとお客さんが来ていた。
「………あ、あの…お会計……。」
「ああ、すみません。こちらです。」
僕は3人にお運びと注文をお願いして、
またレジを再開した。