第10章 11月『王子様の超越』
「…とりあえず…レジでいいかな。」
混みあっているレジの近くに行く。
…少なくとも、僕は暗算出来るから
電卓を叩くClassXの皆よりも計算速いし。
「………良かったら、僕、やります。」
「…あ、君!助かる!
ありがとう。」
ClassXの生徒から僕にレジを代わる。
並んでいた女子がきゃあ、と叫ぶが、
人が慌ただしく動く錯乱としたこの戦争状態に
その声はすぐにかき消された。
……急に来たから、
メニュー表は昨日1回見せて
もらっただけだけど。
ま、なんとかなるかな。
「………お会計失礼します。
ええっと……1280円です。」
「……わ……、カッコイイ……王子様……。」
僕が会計のメモだけ見てそういうと、
小さな悲鳴を上げる。
「あの、お会計………。」
僕が顔を上げると、
お客さんはぱちくりと
目をまん丸にさせていた。
…………その目、今日で何回目だろうか。