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弟バカと兄バカ【VitaminX 原作沿い 】

第10章 11月『王子様の超越』









僕が片手を差し出すと、
慧君は嬉しそうに両手で思い切り握った。

慧君の目はキラキラして
僕を見つめている。


…………うぅ、なんというか、
希望に満ち溢れてるというか……。


僕よりも王子様向いてるかも。







「良かったね、慧。」


那智がにこりと笑って言った。

………逆に那智は、慧君といると、
立場を1歩引いて取ってる気がする。

笑いながらも、
僕と握手をした手から目を離さない。



「……ああ、本当に見に来てよかった。
……先輩、ありがとうございました。」


「………ううん。…気にしないで。
………那智も、しとく?」


「……え、俺?」


那智に話を振ると、驚いて僕を見る。
僕の手を見つめていた目が離れた。



「………うん。………はい、手。」


「………あ、りがとう。」



那智は戸惑いながら僕の手を取った。
先程の笑みは消えて、驚いた目で
僕を見ている。


…そんなに見られたら、穴空いちゃいそう。








「……ったく、の奴
いつまでモタモタしているんだ。」



「…それよりさ、、
マジで可愛かったなぁ…
しかも格好良かったよなぁ……。」


「ああそうだな、そしてその話は3回目だ!
帰って担任にでも話せ。俺は聞き飽きた!」



遠くで文句を言う翼の声と、
夢うつつな兄さんの声が聞こえる。

………こっちに向かってきてるみたいだ。



「…………じゃあ、僕行くから。
2人とも、またね。」



「は、はい!!お気をつけて!!」

「先輩、またね〜。」



頭を思い切り下げる慧君と
ヒラヒラと手を振る那智の違いに
改めて苦笑いしてから、
草むらを出る。




「………遅い!!」



少し遠くで、翼がムスリと怒っている。

ごめん、と謝って僕は2人の元へ向かった。



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