第2章 4月『沈黙の少年』
鳳先生に事情を説明すると、
考え込むように呟いた。
「ふむ……確かに、急激に落ちているね。
それも、かなり異常だ。」
「でも主任も校長も印鑑押してるし、
それに草薙の保護者の印鑑もある。
この成績で認められてるって事ですよね?」
「…………そうだね。
でも君の家族は、
草薙君以外みんな
遠くに出てしまっているらしくてね。
この印鑑を押したのはきっと君か
草薙君だと思うよ。」
「…草薙の兄は、
何か言ってませんでしたか?」
「…いや、テストのたびに
『俺のは世界一可愛い』と
テストの端に書いているのは見かけるけど、
成績の話は、した事ないかな。」
「そうですか…………。」
でも、何か裏があるんじゃないかと
思ってしまってならない。
草薙もあの時斑目の通訳だけで
喋ってなかったし、
直接聞いてみるしかないか。
「鳳先生、ありがとうございました。」
「いや、大丈夫だよ。
私も少し気になってきたしね。
草薙君にも関わることだし
また何かあったら教えてくれるかい?」
「了解っす!」
鳳先生と別れて、成績をコピーする。
あの草薙が簡単に
教えてくれるわけないと思うけど、
こうなったら当たって砕けるつもりで
行くしかないか!
俺はコピーした資料をまとめ、
明日に備えた。