第10章 11月『王子様の超越』
………あれ?そういえばの劇って
何番目だっけ?
朝、聞いたのに、忘れちまった。
「草薙、の劇、
もう始まってるが……
行かなくていいのか?」
レジをしていた瞬が厨房に聞きに来た。
瞬も初っ端に清春に水で濡らされてたけど
だいぶ髪も乾いて良かっ………
って、え!?の劇!!?
「マジか!!!」
「……マジかって、
朝自分が言っていたんだろう。
………忘れていたのか?」
瞬の眉間にシワが寄る。
そう言うのは早く教えてくれよ瞬!!
「………くぅぅ、俺がの事で
忘れる事があるなんて……
テストの赤点よりも悔しいぜ!」
「ちょっと一君!?
今聞き捨てならない言葉が
聞こえたんだけど!」
俺の言葉に先生が飛んできた。
んな事言ったって!
赤点はほぼ毎回取ってるけど、
の事で忘れたのは
これが初めてなんだよ!多分!!
「……慌てるな、一。
の出番は最後だ。
まだ時間はある。永田!」
「………はい、翼様。
現在さんの劇は
始まったばかりです。
今から行けば、ちょうどさんの
出演のタイミングと間に合うかと。」
「………だそうだ。
今手が空いてるし、俺も行ってやろう。
昨日、見しびれたしな。」
「翼君、それを言うなら
見そびれた、よ。」
「先生!行ってもいいか?いや、良いよな!」
厨房から詰め寄ると、
先生もコクコクと頷いた。
「え、あ、うん。勿論いいわ。
今、ちょうど余裕あるし……
君の事だもの。行ってあげて。」
「サンキュ、先生!」
俺は先生にお礼を言って、
ウエイターの格好のまま、
翼と共に体育館に向かった。