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弟バカと兄バカ【VitaminX 原作沿い 】

第10章 11月『王子様の超越』









「………疲れた………。」




さっさとステージを降りて裏に入る。


一体、なんだったんだ……。

僕、何かいけないことしたのかな…。



とにかく、着替えは悟郎に
預けてあるから、
1度の観客席にいる
悟郎に会わなきゃ。



「………はぁ。」



なんだか肩の荷が降りたような気持ちで
裏からの出口を開ける。
早く着替えよう。この衣装、
いくらするかわかんないし。





「キャアアアアアア!!」



「ーーーッ!?」


観客席に出るといきなり
黄色い歓声に包まれた。

目の前に何回かフラッシュが光り、
目が開けられない。


「な……なに、一体……。」


「草薙君!こっち向いてぇえー!」


「キャアアアアア!
王子様ぁああ!!!」




それが、女子が僕の写真を撮っていると
気付くのに少し時間がかかった。

「………ちょ、やめ……」


みんなグイグイと僕に近づいてきて、
僕はあっという間に囲まれた。


「ねぇ草薙君!まさかと思うけど、
さっき……本当にキスしたの?」


「嘘よね、草薙君!」


「当たり前じゃない!!
だって…草薙君は……
王子様なんだし……。
そうよね?キスなんて、
してないよね?」



「……え…あ……その…。」



女子は写真を撮るのをやめて
一斉に僕に詰め寄ってくる。




キスはした、でも
おでこだし。ノーカウントだ。



………そう伝えたいのに、
喉から言葉が出てこない。


「ねぇ!はっきりしてよ!!」


「もしかして、あの子の事、好きなの?」


「キャアアアア!嘘よ!絶対嘘!!
そうよね、草薙君?」




「……あ……えっ…
と…………。」




そういう意味でやったわけじゃない。
ただ、僕は緊張を解そうとして……





声が喉に突っかかって出ない。


「……あ…………ちが……
ぼくは…………」


言えない事で、
女子はより一層詰め寄ってくる。


僕は壁に追い詰められて、
ドクドクと心臓が高鳴り、
冷や汗がだらだらと垂れた。



段々呼吸が上手くできなくなってきて、
頭がクラクラする。


あ、やば………これ………。





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