第10章 11月『王子様の超越』
「レイ!メイクしに来たよー!」
「…………悟郎……。」
「今日、衣装着て練習するって聞いたから
寄ってみたんだよね!
間に合ってよかった!」
もうすぐ僕達の番だなって頃。
体育館の扉が開いて、悟郎が入ってきた。
「お、悟郎!明日もよろしく頼むよ。」
「任せて!レイを
カッコイイ王子様にしちゃうから!」
この2人、仲良いのか、
既に明日の本番の取り決めまで
済ませてあるみたいだ。
くそう。化粧だって嫌なのにな。
「………さ、。準備してこいよ。
今のクラス終わったら次だからさ!」
「………分かりました。
準備できたらそのまま裏で待ってます…。」
「おう!」
僕は諦めて悟郎と共にステージと直結した
更衣室に向かった。
「………レイ〜?
目、瞑って?」
「……んー。」
悟郎は僕の化粧にノリノリで、僕のために
青色のシャドウを買ったらしい。
それになんの意味があるかは
分からないけど
僕なんかのために化粧品を買うなんて、
悟郎も気合入りすぎだ。
「へへ、オッケー、まだ開けちゃダメだよ。」
「…………うん……。」
顔に何かをペタペタと塗っていく。
何かは分からないけど
きっと化粧の1種だ。
「……明日ね、ハジメが絶対見に行くって
張り切ってたよ。」
「………そう。」
「ゴロちゃん達も見に行きたいけど、
毎年ClassXのお店は忙しいから、
行けるかどうか分かんないんだよね。」
「………いいよ、別に来なくても。
僕の出番、数秒だし。」
「でもさぁ、レイの
一生に1度の舞台って感じだし。
あ、ゴロちゃんこのまま見てこっかな!
の劇!!」
「…やだよ。間違えたら、恥ずかしいし。」
「フッフー、そんな事言って。
実は自信満々なんでしょ?」
「…………まぁ、練習は上手くいってるけど。」
「それなら大丈夫!!」
悟郎がにっこりと笑って僕から手を離す。
「目を開けて」、と言われて開けてみると
満面の笑みの悟郎がいた。
「うん、バッチシ!
レイ王子様完成!」
「……………ありがとう。」