第10章 11月『王子様の超越』
僕に与えられた最後の台詞は3つ。
「ううーん………。
『おお、なんて美しい姫なんだ。』
『僕と結婚してください。』
『共にお城で暮らしましょう、
僕だけのプリンセス。』…か。」
どの言葉も、日常では
使ったことのない言葉ばかりだ。
せめて『兄さん』とか入ってれば
もうちょっとやりやすいのにな。
「……どうしたのですか?
まだクラス会議の時間なのにフラフラして。」
「………あ、二階堂先生。」
職員室の前をうろついていると
眉間にシワを寄せた二階堂先生に会った。
「文化祭の事で、聞きたいことがあって。」
聞きたいのは勿論、劇の事だ。
二階堂先生なら、落語で人の前で
喋った事もあるだろうし
何か良い案があるかもしれない、という寸法だ