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弟バカと兄バカ【VitaminX 原作沿い 】

第9章 10月『王子様の憂鬱』




「………そんなの、考えられないよ。」


「きゅう。」

『…そんなこと言って。
その顔だったら、星の数ほど女の子が
寄ってくるわよ。』




「……う………。」


それを聞いて、思わず黙ってしまった。
頭にたくさんの女が僕にせめぎ合うように
走ってくる図が浮かぶ。

きっと逃げても逃げても追いかけてくる。
奴らには人情って言うものがない。



「……女子は苦手だから…。」



「きゅぅー?」

『あらそうなの?私はメスなのに?』



「人間以外は平気だよ。」



「きゅ………」


『そう。それじゃあ…』







「ちょっと待て!
はやらねぇからな!
嫁にも婿にもやらねぇ!!」


「うわっ、」





兄さんにグイッと引っ張られて
うさぎとの会話を無理矢理打ち切られた。
兄さんの腕の中に引き込まれる。
兄さん、あったかい。



「きゅきゅッ」

『ウフフッ…それは残念だったわ。
それじゃあ、またね。ハジメの弟クン?』


うさぎは最後に耳をパタパタとさせて
巣穴に戻っていってしまった。





「………あっぶねー…。
もうちょっとで
プロポーズされるとこだったな。」


「……そんなわけないでしょ。」


「………そんなわけあるだろ!。
うさコロは動物界一のプレイボーイだぜ?
すぐ妊娠するし妊娠しながら
また妊娠できるからな!!
そういうとこはハッキリさせとかねぇと
駄目だって。」



「まぁ……そうだけど。」




「だろ!?」


僕が宥めると兄さんもうんうんと頷いた。






「………あ、兄さん。
テナガザルさんが手振ってるよ。」


「マジか!!おーーーい!
今から行くからなー!!」



「……あはは、兄さん。待ってよ。」


兄さんが大声を出して走っていく。
その辺の子どもよりもはしゃぐ兄の姿を
歩いてゆっくりと追った。

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