• テキストサイズ

弟バカと兄バカ【VitaminX 原作沿い 】

第9章 10月『王子様の憂鬱』



「俺、絶対見に行くからな!!
の晴れ姿!」


「…うう……やめてよ。晴れ姿なんて。
出来るだけ出番減らしてもらうつもりだし。」



「それでも俺は嬉しいっての!
はぁ、が王子様かぁ…。
絶対可愛いんだろうなぁ……。」



「…………………。」




にやにやと嬉しそうにする兄さんに
頬を膨らませると、兄さんは眉を下げた。





「………わりぃ。
舞台に上がるの、嫌だよな。」



「…………うん。」






僕が頷くと、兄さんが優しく頭を撫でた。


「真田先生はなんて言ってんだ?
が緊張するって…、
知ってんだろ?」



「………やってみたらどうだ、って…。」




「………はぁ、そっか。
先生もまだまだの事
分かってねぇんだな。」



「……………。」




兄さんがため息をついた。
確かに、今の僕からしたら
舞台に上がるなんて、無茶だ。

絶対に緊張するし、
体育祭の時みたいに倒れるような事も
あるかもしれない。



でも、真田先生のあの言葉が
僕の中でずっと引っかかっている。



「…先生は……僕が緊張する原因が分かれば、
治せるはずだって言ってた。
だから、やってみたら?って…。」



「………原因かぁ………。」



「……うん。兄さん、分かる?」




「…俺には全く分かんねぇよ。
確かには、子どもの頃は
全然緊張とかしなかったぜ。
でも、今はする方が普通だし。
それに俺がいれば大丈夫だからいいじゃん。」



「…………昔は、しなかったの?」


「おう。幼稚園の頃の
最初の発表会とか見るとさ。
喋らないし歌わないけど手だけは動くから、
だけ真顔でカスタネット叩いてて
超可愛いんだぜ!今度一緒に見るか?」



「………別に、見たくない。」





僕、昔は違ったんだ。
緊張しない、性格だったのかな。



っていうか、真顔でカスタネットを叩く事の
どこが可愛いのか僕にはさっぱり分からない。






「…でも小学校上がって
ちょっとしてからは駄目でさ。
半泣きで立ってるのが精一杯だったぜ。
……それはそれで可愛いんだけど。」


「………そうなんだ……。」



小学校上がってから…か。



「……………………。」



/ 427ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp