第9章 10月『王子様の憂鬱』
(視点)
「…………兄さん。」
「……んー?どうした?」
「………暑い。」
朝の記憶から一変、
僕は気付いたら自分の部屋で
兄さんとゴロゴロしていた。
「…えー、!
もう終わりか!?
お兄ちゃんとのラブラブは!!」
「………何それ…意味分かんない。
とにかく暑いから、どいて。」
「えー…嘘だろ〜…。」
くっついてくる兄さんを押しのけて、
時計を見る。
…………んん、
1時間くらいゴロゴロしてたみたい。
もう、完全に遅刻だ。
「…はぁー。」
まぁいいか。今日は特に何も無い日だし。
僕が起こした体をまたベットに沈めると
兄さんの腕に取り込まれた。
「ー。よしよし。
あー可愛い。ほんと可愛い。」
兄さんは僕を可愛がりたいらしく
さっきから撫でてくる。
………いつもの事だけど。
「……暑いってば。」
僕はそう言いつつも
兄さんの腕の中に包み込まれた。