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弟バカと兄バカ【VitaminX 原作沿い 】

第9章 10月『王子様の憂鬱』










………たしか、あれから
翼が筆頭になって
全員僕のクラスに悪戯を
仕掛けまくったんだった。


「あの時の悪戯は今までで1番
派手で酷かったね。」


「ま、お陰で俺は一週間悪戯を受ける事なく
過ごす事ができたがな。」




瞬が鼻で笑って、僕も笑った。
あれから、B6に入れてもらえて、
あの悪夢は終わったんだ。



「………だか、もし。もしもだ。」


「………?」


「………あの時、俺がバイクで
もし通りかかってなかったらと思うと、
ゾッとする。
あの時俺が気付かなかったら、
お前はそれからもずっと耐えていた。」


「…………………。」



「……それがどんなにお前にとって
駄目な事かを
お前はまだ分かっていない。」




瞬の黄色い瞳が僕を突き刺す。
瞬の言葉は的を得ていた。

僕は……瞬の言う通り、今でも
我慢している事はいくつかある。


言っていないだけで、
まだクラスメイトの嫌がらせはたまにあるし、避けられているのは間違いない。


でも、言う気はない。
きっと言ったら、また結託して
止めてくれるだろう。

………それを望んでいないわけじゃない。


でも僕が我慢して丸く収まるなら
それでいい、と思う。


だから、少しくらい我慢する事は
平気なんだ。




でも、B6のみんなは
それはいけない事だと言う。

僕はそれをまだ理解出来ていない。





「だったら俺が…止めてやる。」


「…………瞬、」


「………お前が我慢しなくてもいいように
俺が止めてやる。」




瞬が僕の頭を優しく撫でた。
しかしその目は真剣で本気だ。

瞬……そんな事考えてたんだ。


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