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弟バカと兄バカ【VitaminX 原作沿い 】

第2章 4月『沈黙の少年』







山田さんのランチをいただき、
昼休みが終わった。

「次の授業なんだっけ?」

「確か英語でしょ?センセの授業だ!!」



「庶民の顔でも見に行ってやるか」



と翼が言い出し、
皆、ゾロゾロと授業へ向かった。

残されたのは、僕と、瑞希だけだ。





「瑞希は授業行かなくていいの?」

「………行かない。」


「そう。」



僕がソファに座って本を開くと、
椅子に座っていた瑞希がきて、
僕を押し倒した。


「な、なに?」


何するかは大抵分かっているが一応聞く。


「………僕にも…抱き枕して。」




ああ、やっぱり昼寝だよね。うん。

知ってたよ、瑞希。



僕に拒否権はないらしく、
本を取り上げられて瑞希の腕に
閉じ込められる。


「……ん………、暖かい。」

「んん……おも、い……」

「…………よいしょ。」

ゆっくりソファーに横向きに寝転がる。
僕が外側で、瑞希は背もたれの方で
寝転がっている。



「……おやすみ……」


「おやすみ。」




僕は、朝たくさん寝たから
眠たくないんだけどな。

でも、瑞希は僕のお腹をがっちり
掴んだまま眠っている。


「抜け出せ………ないよね。」

なんで1つしか年齢違わないのに
こんなに力の差と、体格の差が出るのかな…



「……………はぁ。
いいなぁ、瑞希は体が大きくて。」


そう言うと、トゲーが
僕の頭にひょいひょいと
登ってくる。

「トゲー、トゲトゲー」
『瑞希も、
の事が羨ましいんだよ』



「………………ないものねだりってこと…?」


僕がそう聞き返すと、
トゲーは瑞希のマフラーの中に
戻っていってしまった。

「…………意味深。」


諦めて天井を向く。
瑞希の寝息が少し擽ったい。


トゲーも寝てしまったらしく
それ以来返事はしなかった。



「……………僕の事が羨ましい、ねぇ。」


どこにそんな要素があるんだろう。

僕なんか……
…こんな人間、いない方がいいのに。






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