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弟バカと兄バカ【VitaminX 原作沿い 】

第9章 10月『王子様の憂鬱』







「っ!!!」



七瀬先輩が話そうとしたその瞬間、
扉がドン、と開いて兄さんが入ってきた。

急いできたらしい、
息は乱れ、髪もボサボサだ。




「……兄さん。」


「ぜぇ……はぁ…、無事か!?」


「う……うん。」


「よか、った……はぁ、はぁ……。」



僕の肩を掴んで、
怪我がないか確認すると、
兄さんは近くのソファになだれ込んだ。



「ハジメ!帰ってきたの?忘れ物?」


「……俺が呼んだんだ。」



「…はぁ……っなんだよ、瞬。
思わせぼりなこと言って……はぁ。」


「………………。」


それを言うなら思わせぶり、でしょ。

「永田!Drink、3人分だ。」

「かしこまりました。」


真壁先輩が指を鳴らすと、スーツの男の人が
入ってくる。


な、なんだ、あの人………。




「サンキュ…翼。
…、おいで。」


「………う、うん。」

スーツの男の人に目を白黒させていると
兄さんに手を引かれた。

導かれるまま、兄さんの膝の上に座る。



七瀬先輩も僕らの隣に腰掛けた。



「…で、瞬。一体なんだ。頼みとは。」


飲み物が届き、真壁先輩が
足を組んで僕達を見た。

そして、七瀬先輩が、僕に目配せをする。



「……オイ、さっきの話、全部話せ。」



「………え、でも……僕は別に……。」



「お前が良くても、俺は良くない。
……さっさとしろ。」



七瀬先輩にまたギロリと睨まれた。
…ちょっと怖い。





「……、さっきの話って、
なんだよ。」


兄さんも心配そうに僕を見ている。


僕に逃げ場は与えられていなかった。




僕は渋々口を開き、
先程七瀬先輩に話した事を
もう一度兄さん達に話した。
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