第9章 10月『王子様の憂鬱』
「あれ?シュンだ!帰ってきたの?。」
「………なんだ瞬。顔が真っ青だぞ。
あとそのChildは誰だ。」
「あ!ゴロちゃん知ってる!
ハジメの弟のレイでしょ?」
「………お…お邪魔します……。」
最近出来たクラブ棟で一際目立つ宮殿の
バカサイユに入ると
その持ち主である真壁翼、先輩と
…兄さんの中学からの同級生、
風門寺悟郎…先輩がソファーで
オレンジジュースを飲んでいた。
バカサイユ、初めて入ったけど凄い。
なんか、全てのものが豪華そうだ。
天井にはシャンデリアが釣り下がり、
豪華なソファーにテーブル、
何故かバスケットゴールや碁盤、
チェック柄のミロのヴィーナス像まである。
「…草薙はどこだ。」
「一ならいないぞ。
昼に帰ったっきりだ。」
…兄さんは来ていないらしい。
ストリートファイトで忙しいのかなと
思い、少しだけ落胆する。
ここにいるのは皆ほとんど話した事のない
人達ばかりだ。
兄さんに1度だけ紹介されてるから
皆名前くらいは知ってるけど。
初対面の人ばかりで
緊張してしまいそうになる。
「………フン、来る気がないならもういい。
真壁、頼みたいことがある。」
「なんだ?お前の頼みなら
聞いてやらん事も無い。」
「なになにー?ゴロちゃんも聞きたい!」
「実は、コイツが…………。」