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弟バカと兄バカ【VitaminX 原作沿い 】

第9章 10月『王子様の憂鬱』









「………まぁその、こんな感じで。
その、…今日は家に帰る途中だったし、
少しくらい濡れても平気です。
家に帰って着替えればいいだけですから。

お弁当を台無しにされたり、
テストの日に筆箱を捨てられていたり
する方が………。」




「……………………。」




「………い、嫌だなって思って………。」






七瀬先輩はケーキを食べながら
僕の話を一言も話さず聞いていた。



ただ、目から火が出そうなほど
怒っているのは僕にでも分かった。

何か、気に触る事、言ったかな。



「…………えっと、先輩、怒ってます?」



「……ッ当たり前だろう!!
仙道でもそこまではやらん!!!」



ケーキをごくりと飲み込み、
紅茶を一気に飲み干してから

七瀬先輩は大声を出した。




「何故今まで言わなかったんだ!!」


「あ…だから別に…。」


「良い訳ないだろう!馬鹿かお前は!!」



「………ごめんなさい。」


また怒られてしまった。
七瀬先輩は立ち上がり、
食器をキッチンの水洗い場で
水につけてから、上着を羽織った。



「オイ、行くぞ。」


「…え、どこに?」

「学校に決まってるだろう。
このまま放っておけるか!!」



「あ、いや、僕は………。」


「草薙にも連絡しろ!
今すぐ学校に来いってな。」


「………わ、分かりました。」






結局僕は言いくるめられてしまい、
上着と携帯を持って家を出た。
鍵を閉めて、兄さんに電話をかける。
出てくれるかな。


通話ボタンを押すと、
すぐに兄さんに繋がった。


『?…どうした?』


「あの、ちょっと……用事があって。
今から学校に来て欲しいんだけど。」


『…用事って、明日じゃ駄目なのか?
今忙しいんだよな。』


兄さんの電話の向こうでは
わあわあと男の歓声がする。

ストリートファイトの、途中だったかな。


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