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弟バカと兄バカ【VitaminX 原作沿い 】

第9章 10月『王子様の憂鬱』



確かにこれは聖帝学園の生徒手帳だった。



………そして、それは
中等部1年A組と書かれている。


なんだ、中等部か。
どうりで知らないわけだ。




「君も中等部だよね?
俺の事を知らないなんて、珍しいよ。
慧とセットで、結構有名なのに。
………で、君は何組なの?」



「……………。」




僕、こう見えて高2なんだけど………。




「はい、これ……僕のやつ。」


ちょっとムカついて、
僕の生徒手帳を青年……那智君に渡す。



タメ口聞いてられるのも、
今のうちだ。ばか。



那智君は僕の生徒手帳を見て目を丸くした。


「ワオ、高等部?しかも2年生!
先輩だったんだ。
全然見えなかったよ。」



「…………………。」



僕を見てクスクス笑う那智君に
軽く殺意が湧く。



「………もういい。」

那智君から無理矢理生徒手帳を奪うと、
スタスタと歩き出す。

だいぶ時間を使ってしまった。
瞬、待たせると煩いから急がないと。




「待ってよ、先輩。
家帰るんでしょ?俺、送ってく。」


小走りで那智君が僕の隣に来る。
鬱陶しいな。

助けてもらえたのは
有難かったけど、もういいじゃんか。



「………なんで。
那智君こそ家に帰りなよ。」


僕が那智君を睨むと
那智君はにやりと笑った。


「でも、またアイツら来るかもしれないよ?」


「………………。」


「いいの?」


たしかに、スタジオの近くの道は
少し暗くてガラの悪い人達も
ちらほら見かける。

いつもはB6の誰かと歩くから
気にした事無かったけど……。


結構、危ないかも。

次、またアイツらが来ても
逃げられる気、しないし。




「…………勝手に……すれば?」


「ふふ、じゃあ一緒に行こうかな。」


迷って適当な返事をすると
肯定と受け取られたようだ。


「……那智君!…別に良いとは言って、」


「あ、君付けはいらない。
那智って呼んでよ、先輩。」



生徒手帳を見せたせいで
名前がバレてしまったみたいだ。

「ね?」と笑う那智君は
無邪気な小悪魔で、なんとなく
知り合いの顔が思い浮かんだ。


「………那智。」


「何?」

「………呼んだだけ。」


「フフッ……先輩、かーわいっ。」

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