第9章 10月『王子様の憂鬱』
でも、僕は知ってる。
昔、IQ試験でに
会った事があったから。
「………………。」
僕と同じくらい無口で、
日本の研究医に話しかけられていた
このままじゃ、あの子も僕と同じように
研究所に入れられてしまう。
……………僕はにIQテストを
加減して受けるようにアドバイスした。
間違えた方が良い問題、
正解を書いた方が良い問題。
全てに伝えると、
はテストでその通りに書いた。
それはやはり、は
常人では無いことを示している。
勿論、記憶力がない分
のIQは250くらいに下がるだろう。
だが、一般人よりは格段に上のIQを
持っていた。
そして、なら
この雑誌や本を僕が読んでいる
という事実から僕が天才である答えに
辿り着く。
「……………………。」
もし、僕が天才であるという事が
バレてしまったら、
僕はまたアメリカに戻らなきゃいけなくなる。
また、実験の日々だったらと思うと…………。
ぞくり、と鳥肌が立つ。
「ねぇ、瑞希ってさ……。」
その言葉にビクリと体が動いた。
が、僕をアメリカに戻そうなんて、
するはずはない。
そう信じていた。
……でも、一瞬だけ、悪魔が過ぎった。
その悪魔から怯えるように
に回していた腕の力を強めた。
「……………………。」
下を見るとの丸くて大きい瞳が
僕を写している。
「……………………。」
は僕の顔を見て黙り込み、
また、論文に目を移した。
「………………。」
がその言葉を言わない事に
少しだけ安心していた自分がいた。
こんな所まで連れてきて、
言わせるように仕向けたのは僕なのに。
それとも、は
分からなかったのだろうか。
実はって物凄く鈍感だった…とか?