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弟バカと兄バカ【VitaminX 原作沿い 】

第9章 10月『王子様の憂鬱』




(瑞希視点)








を家に呼んだ。




その理由は、
が学校で聞いてきた
僕がどうして、人嫌いかどうかの
答えを僕なりに出そうと思ったからだ。






「これ、読んでいい?」


「…うん。」




いや、そんなの僕の言い訳だ。


もし言ったら、が
僕の事を思い出すんじゃないかと思ったから。



僕が昔、に会った事があることを。




そして……が僕と同じ
天才だということを。





「瑞希、重い。」



「……………んん。」






に渡したのは
科学雑誌の中で1番難しい論文。


宇宙用語がたくさんあって
英語の文章も難しく書いてある。


でもの目は順番に下に動いていき
読み解いていることが分かる。





「………………………。」





はB6と行動を共にしているため
授業でしか勉強をしていない。



むしろ授業もサボりがちなため
教科書だけ見て終わってしまう事もある。




それでも、学年トップに躍り出ているのは
勉強をしなくても満点を取れる、
……つまり天才の素質がある。




「瑞希、これって…どういう意味?」


「Be worn down……摩耗する……。」


「摩耗って、すり減るって事?」


「………うん。」





しかし、は周りから
『勉強のよく出来る生徒』としか
認識されていない。


それは、日常生活での記憶力や行動が
一般人と変わらないからだ。




には読むだけで覚えられる
記憶力と分析力があるにも関わらず
それは日常生活で発揮されていない。




僕の推測だと、は
『天才という枠の中では
記憶力がすこぶる悪い』からだと思う。



僕は幼少期の頃の実験が
いつどこで行われたかが
今もしっかり覚えている。
……忘れたくても忘れられない。




でも、は
日常生活の事や覚えたくない事は
忘れてしまうのだろう。
………一般人と同じように。





だから、が
凄い天才であるという事は
誰も理解していない。

勿論、本人も。





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