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弟バカと兄バカ【VitaminX 原作沿い 】

第9章 10月『王子様の憂鬱』







意外だった。
それよりも、瑞希が英語を………


しかも、こんなに難しい論文を
読む事が出来るなんて、知らなかった。





「この論文が………オススメ…面白い……。」



「ありがとう。」



瑞希のオススメのページを開く。
小惑星での実験を元に
様々な仮想を組み立てる論文のようだ。
順番に読み進めていくと、
急に肩に重いものが乗っかる。




「瑞希、重い。」



「……………んん。」


瑞希がいつものように僕に抱きつき、
お腹に手を回す。

一応嫌な顔をしてみたが、
瑞希は少しもやめる気はないらしい。

上から僕の開いた雑誌を
ぼんやりと眺めている。


「…………………。」


瑞希の事は諦めて、論文に目を移した。


英語が得意な翼でさえ
投げ出してしまいそうなこの文章は
かなり論理的だ。

日本語に訳しても、
悟郎なら3秒で落書きしそうなくらい
読みづらく難しい。


……まぁ、論文って
そういうものなんだろうけど。




「瑞希、これって…どういう意味?」


「…摩耗する……。」


「摩耗って、すり減るって事?」


「………ん。」


瑞希に読めない単語を聞いてみると
すんなりと教えてくれた。


やっぱり、瑞希はこれを
ちゃんと熟読してるみたいだ。



先程見た本棚の中には
ドイツ語やイタリア語の
宇宙に関する本も入っている。

きっと瑞希はそれも読めるんだろうな。




……英語だけだったら
翼みたいにアメリカに住んでいた、と
言うことも有り得る。

でも、ドイツ語やイタリア語も
読めるなら、話は違ってくる。


日本語も合わせたら、4ヶ国語。
18才でそんなに喋る事が出来る人間なんて
ほとんどいない。








「……………………。」







今までも瑞希の発言が
不可解だった事は何度かあった。




その発言の裏に、
多量な知識があったとしたら?








もしかしたら、





瑞希って………







「ねぇ、瑞希ってさ……。」









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