第2章 4月『沈黙の少年』
(視点)
「………あ、ツバサとレイ!
ポペラ遅かったね!
大遅刻〜!」
昼休みの少し前、翼のバイクで学校に着いた
僕と翼はバカサイユに向かった。
するとみんなも授業サボっていたらしく、
バカサイユに集まっていた。
「うん、寝坊したから。」
僕が悟郎にそう返事をすると、
兄さんに呼ばれた。
「、こっち。」
ソファに座っていた兄さんの膝の上に座ると
ぎゅっと抱きしめられ、
首筋の匂いに鼻を付けられる。
「ん?なんか翼の匂いがする……。」
「What!?お前は犬か!」
翼が気味悪そうに兄さんを見て、
僕らとは反対側のソファに座った。
さりげにDrinkだ、と
永田さんに飲み物を頼んでいる。
「…昨日、僕、抱き枕だったからかな。」
「えーっ!?いいなぁ、俺にもたまには
抱き枕しろよ、。」
「草薙ははどちらかというと、
ぬいぐるみにしてるだろう。」
翼の隣に座る瞬が、紙とペンを
片手にそう言う。
なにやら作曲中らしい。
それに対し、そうか?と兄さんは
首を傾げる。
……いつか兄さんの膝の上のぬいぐるみを
卒業する日が来るのだろうか。
そう思うと、まだ兄さんに甘えていたい、
なんて思う僕はブラコンかもしれない。
「…午後だけ授業出るつもりか?」
「ううん、もういいや。」
「ケケケッ…サボっていーのかよ!
ClassAサンよォー!?」
僕らが座っているソファの後ろで
バスケットボールを回していたキヨが
ソファにもたれかかって
キシシッと笑っている。
「別に平気。行ったら行ったでどうせ
真田先生に問いただされるだろうし。」
「えー?マサちゃんが?
レイ、なんかしたの?」
「うーん、昨日授業サボっちゃったからかな」
「なんだ、そんな事。
今に始まったことじゃねぇのにな。」
兄さんが不思議そうに言う。
でも、心当たりはそれしかない。
「…………ん……。」
僕らと少し離れた所で寝ていた瑞希が、
少しだけ目を開ける。
『子犬は…僕が追っ払う……。』
「え…?」
「ん……、…。」
『だから、子犬に会いに行く時は…教えて。』
「…う、うん。分かったよ、瑞希。」
僕が頷くと、瑞希は満足したように
また眠りについた。