第9章 10月『王子様の憂鬱』
(視点)
「……。起きて、ねぇってば。」
「……………んん………?」
「あ!目擦っちゃ駄目!
折角メイクしたのに!!」
「……メイ……ク…?」
手を抑えられたまま、目を開ける。
あれ、ここ、確か……教室?
クラス会議の途中、だったっけ。
目の前に………誰か、いる。
手を抑えてるのって……?
「……………だれ?」
「ゴロちゃんに決まってるじゃん!
ほら立って!
レイ王子様、完成っ!!」
目をぱちぱちすると、
だんだんぼやけていた視界が
ハッキリしてくる。
悟郎に手を引っ張られて席から立つ。
ふらふらと立ち上がって前を見ると
クラスの生徒達が僕を凝視していた。
「………………おう、じ……さま………?」
凝視されるのはいつもの事か、と割り切り
瑞希並の声量でぼそぼそと喋る。
頭が回らない……。
大体王子様って、何のこと?