第9章 10月『王子様の憂鬱』
「さぁ、持ってきたわよ。
順番に着てみて。」
「………うっ、本気かよ………。」
少しして女子生徒が衣装を持って到着した。
「うわぁ……これは確かに……。」
派手だな………。
他の生徒が言っていた通り、
王子の衣装は本当に派手だった。
青色のスパンコールのような光り輝く布地に
金色の飾りや紐がたくさん付いている。
首元には白いヒラヒラしたハンカチが
付けてあり、真ん中には
赤い宝石…偽物だろうけど……がついていた。
女子に言われて渋々スパンコールの
ジャケットを
羽織るものの、全く似合わない。
サイズが合わず、着れない生徒もいる。
「………駄目だ。全然似合わない。」
小道具係の生徒は皆着終わったが
誰も似合うものがおらず
生徒達も納得いかないようだ。
「先生…どうします?」
「王子がいないと、白雪姫は成り立ちません」
「あとは………草薙君だけですけど。」
「草薙がステージに上がるわけないよ。
アイツ、いっつも小道具だし。」
生徒達は口々に不満をいう。
今日の時間も残り少ない。
あと小道具係で衣装を
着ていないのはだけだ。
でも、緊張しいのが
やるわけないよなぁ……。