第8章 9月『Open Campus』
「もうね、翼君は授業中に
黄金の翼像持ち込むし、
一君は猫を連れ込むし、
瞬君は作詞をしていて聞いてないし、
悟郎君はアイロンで髪を巻き出すし、
瑞希君は爬虫類召喚するし、
もう大変だったのよ!!」
「………ああ、分かります。
どうしようもないですよね。」
バカサイユに歩く途中、君に
先程の授業の惨事を愚痴ると、
君はコクコクと頷いた。
「……ちなみに、
君だったらどうするの?」
「そうですね……。
とりあえず瑞希の召喚が終わるまで、
全動物を兄さんのところに行くようにし向け、
そのあいだに窓を開けて
爬虫類の逃げ口を作る………とか。」
「………な、成程。で、次は?」
「………爬虫類がいれば悟郎も
瞬も一旦やめるでしょうし、
慌てている隙に兄さんの猫は僕が、
翼像は永田さんがこっそり片付ける。
これで、瑞希の召喚が終わる頃には
皆一旦落ち着くはずです。
………こんな感じでしょうか。」
「…………凄い。流石、普段B6と
一緒にいるだけあるわね。」
「………慣れです。
先生も、そのうち慣れますよ。」
君はB6の事をよく知っているからか
B6の対処法を全て頭に入れているようだった
こんなに深く話した事無かったから
知らなかったけど、
君、B6の事をよく見てるのね。
……前までは、B6の弟分だと思っていたけど
少し違うみたい。
この前、悟郎君が一君の事を
B6のお母さんだと言っていた。
だとすると君は、
普段は黙っているけど、
何かあったら口を出してB6を止める
B6のお父さんのようなものなのかしら。
とにかく、君のアドバイスは
とても参考になる。
これからはもっと頼ってみてもいいのかも。
「先生…僕をアテにしないでください。
僕は、自分の都合が悪い時にしか
動きませんから。」
「………嘘!なんで分かるの!?」
「………口に出てましたよ、全て。」
君が呆れたように私を見る。
B6を助けてくれる君は
私を助けてくれないらしい。ううっ。