第8章 9月『Open Campus』
(南視点)
「……今日も、バカサイユで、
山田さんのランチっと!」
一君達にバカサイユでのランチに
誘われて、約一週間。
毎日毎日美味しいものばかりで
体重が2kg増えちゃったのは
きっと気の所為。
午前の授業が終わった私の足取りは軽く、
渡り廊下を通って、バカサイユへと
向かっていた。
「…あー!南先生!」
廊下の真ん中で、
声をかけられて振り返ると、
女子生徒が二人、こちらに駆けてきた。
確か、ClassCの生徒だったかな?
「何?」
私が振り向くと、
生徒達はムスリと頬を膨らます。
「先生、B6と一緒にお昼ご飯
食べてるって本当なの?」
「えぇ、そうよ。」
「えー!?狡いよ先生!!
私達、バカサイユにすら
入ったこと無いのにー!」
「あ、あはは………。」
否定する事も出来ず、
苦笑いする。
B6の皆に認められ始めている事は
とても嬉しい。
でも、その反面で、
女子生徒の嫉妬の目も光りつつあった。
「ねぇ先生!どうやって
入れてもらえるようにお願いしたの?
教えてよ!!」
「やっぱり、翼君に頼むのが一番いいの?」
「えっと……それは………」
ランチを一緒にしたいと言い出したのは
私じゃなくて、B6の皆の方なのよね…。
自惚れじゃないけど、
こんな羨ましがられそうな事言ったら
余計非難されそうだし…どうしよう。
「…………ねぇ。」
突然、冷たく突き刺さる声に生徒達から
目を離すと、眉間にシワを寄せた
君が立っていた。
「あ!君!」
女の子達は口を抑えて
1歩後ずさりして君に
道を開ける。
「…邪魔。」
厳しい一言と共に、君が
女子生徒を睨みつける。
「ご、ごめんね……。」
「……………………。」
謝る女子生徒を黙って睨む君は
鋭くて、冷たかった。
その瞳に一瞬だけ、
ストリートファイトをしている
一君が浮かぶ。
どうにも、君を見ていると
一君の事を思い出してしまう。
二人は、全く違う性格なのに。