第7章 8月『Side story with B6』
「俺は今度は牧場がいいぜ!」
「……ハジメの言う牧場って
色々あるから分かんないけど
楽しそうだからゴロちゃんも
行きたーい!!」
「だよなー!楽しそうだよな!!」
兄さんと悟郎がはしゃぐ。
こうやってみるとカップルみたいで
ちょっと妬けるな。
………牧場か。
「でも、それ……一理あるかも。」
僕が呟きながら翼のカードを引く。
ダイヤのKだ。
またもやいらないな。
トゲーも暇そうに欠伸をした。
「トゲ……。」
「どういう事だ?」
「…BBQで川、ハワイの海と来たら…
やっぱ山かなって。」
瞬の眉間にシワが寄り、
僕のカードを睨みながら引いた。
「山ァー?まさか登るんじゃねぇだろうな!
そんなの俺様はパスだゼ!」
「…そうか?山は楽しいぞ!
シカちゃんやタヌさんにコン太もいるし。」
「それで楽しいのはお前だけダローが!!」
兄さんが動物談議を繰り出し、
キヨにすぐ却下された。
他のみんなも何も言わない。
………まぁ、鹿や狸でそそられるのは
兄さんくらいだよね。
「…別に、山は登山だけじゃないよ。」
「………ほう?」
翼が首を傾ける。
「…スキーとか、スノボとか、あるじゃん。」
僕が答えると、
悟郎が顔をあげた。
「………いいねそれ!
ゴロちゃんやりたい!!」
「俺も賛成!久々にスノボやりてぇな!」
「僕は雪だるま作りたい。」
「……それなら、等身大の翼像でも作るか。」
「…それは、その。
真壁財閥の方で、よろしく。」
翼が雪で像を作り、それを何色にしようか
考え始める。
どうせピンクと黄緑とか、
碌でもない配色なんだろうな。
眉間にシワを寄せていると、
翼が呼んだ。
「、お前の番だぞ。
さっさと引け。」
「………あ、ごめん。」
翼のカードを引く。
スペードのQだ。
手持ちのカードと揃った。
僕のカードはあと2枚。
「………俺はスキー派だ。
スキー場で座り込むスノボの奴等の
神経が分からん。邪魔で仕方ない。」
瞬がまた僕のカードを睨む。
ババ抜きで本気になる所が、瞬らしい。