第7章 8月『Side story with B6』
「んー……どう思う?トゲー。」
「トゲトゲー。トゲッ」
「だよねぇ………。」
夜も更けた頃。
僕らは真ん中にテーブルを置いて
トランプで遊んでいた。
やっているのは翼の好きなババ抜きである。
僕はさっき起きたトゲーと一緒に
ババ抜きに参加している。
瑞希が寝てるから6人。
みんなでテーブルを囲み、
カードを引きあっていく。
「ねぇ、翼。」
僕が翼のカードを引きながら
隣の翼に声をかける。
「………なんだ?」
引いたカードはハートのA。
………いらないな、これ。
6人もいると中々カードは揃わない。
「…………今夜飛行機を飛ばしながら
ここで泊まって、どこにいくの?」
「都内に戻るに決まってるだろう。
平体洋を1周して戻ってくる。」
太平洋……かな。うん。
本当に銀河を駆け抜けるためだけなんだね。
このジェット機。
「ふぅん…。」
僕が返事をする。
瞬が僕のカードを一枚引いた。
瞬が眉間にシワを寄せ、
トゲーが笑った。
「トゲゲー!」
「………………。」
瞬は黙って僕を睨むが、
無視して翼のカードを引いた。
あ、クローバーのAだ。
ラッキー。
「なんだ、何処か行きたい
ところでもあるのか?」
「………え、いや、別に無いけど。」
僕がそうボソボソと口をすぼめると、
翼の眉間にシワが寄る。
「なんだ。無いのか。つまらんな。」
「…………。」
つまらんなと言われても、
無いものは無い。
今日も十分楽しかったし、
さっきの金箔アイスも豪華なディナーも
美味しかった。
僕としては大満足なのである。
瞬が僕のカードを引いて、
揃った二枚のカードをテーブルに置いた。