第7章 8月『Side story with B6』
瑞希の顔つきが変わる。
僕の方を向いた瑞希の目には
ハテナ顔の僕が写っていた。
「…子犬を……甘やかし…過ぎた……。」
「……………わわっ」
脇に手をいれられて持ち上げられる。
こんなこと、前もあったな。
キヨの腕から離れて、
瑞希の胸板に押し付けられる。
「対策……考えなきゃ……。」
そのまま独り言を始めてしまった瑞希は
しばらく離してくれなさそうだ。
そのまま抱き抱えられてしまう。
………下は、怖くて見れない。
「やっと起きたか。瑞希。行くぞ。」
「本当に起きちゃった。
ゴロちゃんポペラビックリ!!
何の話したんだろう。
ミズキとのナゾの蜜談……!?」
「チッ……後で憂さ晴らしに
カベに悪戯してやる…」
「……言いださなくて良かった……」
「おい瑞希!後で返せよー!
ちょっとだけだからなー!!」
皆、やれやれという顔で
プライベートジェットに向かい歩いていく。
僕も瑞希と一緒にそのまま連れていかれた。
誰も助けてくれなさそうだ。
僕は諦めて瑞希の首に手を回した。
「………はぁ、蜜談じゃなくて密談……」
首に手を回すと、瑞希の髪の間から
白い生き物が見える。トゲーだ。
「……トー……ゲー………。」
トゲー、寝てる。瑞希同様、
トゲーも疲れたのかな。
トゲーに優しく触れると、
ふにゃふにゃとトゲーが笑う。
僕はその感触をしばらく楽しんでいた。
瑞希に抱えられたまま
プライベートジェットに着いた。
でも、いつものと違う。
なんだろう、これ。大きい。
「…今日のプライベートジェット、
いつもより大きい気が……」
「今日は特別製を用意した。
最近深夜列車という物が
流行っているらしいからな。
俺も作ってみたということだ。」
翼はドヤ顔で言う。
一瞬だけ永田さんが苦笑いした。
…………僕も同意見だ。
「シンヤレッシャって何?
戦闘もの?」
「違うぞ悟郎。深夜列車は
夜に銀河を駆け抜けて飛ぶ乗り物だ。
それを、この俺が再現した。」
「……………。」
……それって銀河鉄道999混ざってない?