第7章 8月『Side story with B6』
「………成程。銀河を駆け抜ける…
…いい響きだ。
今度歌詞に使わせてもらう。」
「よくわかんねぇけどスゲーな翼!」
「キシシシッ密室だったら
悪戯仕掛け放題じゃねェかヨ……
腕が鳴るゼェー!!!」
皆はそれぞれ騒ぎ出す。
黙っているのは僕と瑞希だけだ。
……でも瑞希は独り言で気付いていないだけ。
この状況を正すチャンスがあるのは
僕だけだ。
「………えっと、ちょっといい?翼。」
「…どうした?。
このPerfectなジェットに自惚れたか?」
それを言うなら見惚れた、でしょ。
瑞希に首を回したまま翼の方を向く。
「……うんとね、まず、深夜列車っていうのは
真夜中に走る列車……。
分かりやすく言えば電車の事。
………で、銀河を駆け抜けるのも列車。
でもそれは漫画の話だよ。」
僕が翼にも分かりやすいように
ゆっくりと説明する。
「デンシャ………だと!?
列車はジェットという意味ではないのか。」
………なんでそう思ったんだよ翼の馬鹿。
悪口は飲み込んで、冷静に対処する。
あくまで、翼を傷つけないように
訂正にしなくちゃ。
「違うよ。綿密に言うと、
列車は線路を走る車。
電車は電気で線路を走る車かな。
ちなみに、ジェットは日本語で飛行機。」
「…………では、このプライベートジェットは
何て言うんだ。」
「………えっと、『機中泊』かなぁ?」
そういえば、なんて言うんだろう。
機中泊は飛行機の中で泊まる動詞だよね。
それができる飛行機って
なんて言えばいいんだろう。