第7章 8月『Side story with B6』
先日の、真田先生の一件を思い出す。
そういえば、瑞希、先生の話になると
すっごく食いついてきてたな………。
「……………やってみようかな。」
瑞希の近くに行くが、
僕との身長差は30cm以上。
背伸びしても、耳元には全く届かない。
誰か抱き上げてもらえない限り無理だな。
「キヨ、抱っこ。」
近くにいるキヨを引っ張るが
キヨは動かない。
「なァんで俺なんだヨ!」
「……一番体力あるから。」
「ふっざけんな!!」
…………むぅ。キヨが適任なのに。
頬を膨らますと、翼がにやりと笑った。
「なんだ清春。そんな事も出来んのか。」
「……じゃあ、翼が抱っこして。」
「俺は構わんぞ。」
「…………ダァーーーッ!!!
カベがやるくらいならオレ様がやる!!
……暴れたら、そのまま落とすからナァ!!」
「……ありがとう、キヨ。」
翼に言われて気が変わったらしい。
ブツブツと文句を言いながらも抱き上げられ、
瑞希の元に歩く。
「オイテメェ、ちゃんと飯食ってんのかァ?」
「…………最近は食べてる方だよ。」
「一体何食ってんだヨ!
もっと食えよバァーカ!!」
キヨがむすりと怒る。
キヨなりに心配してくれているらしい。
「分かったよ、キヨ。」
キヨにそう返事をして、瑞希の耳元に近づいた
「………ねぇ……瑞希。」
「……………ぐう………」
こっそりと耳元で囁く。
瑞希はまだ寝ているようで
首がカクカクしている。
「……僕ね、終業式の日、
真田先生とケンカしたの。」
「………ん……………それ、本当?」
瑞希の目がゆっくり開く。
よし、もうひと踏ん張りだな。
「うん。でもね、この前仲直りしたよ。
真田先生がね、
俺はの味方だよ、だって。」
「………………ふぅん………………」