第7章 8月『Side story with B6』
「あーー!寝るな!寝るな瑞希!!」
兄さんが立ったまま寝る
瑞希を必死に揺らすが起きない。
………まぁ、瑞希にしてみれば
普段でも常に眠いのに
プールで遊んで疲れて、
夜も眠らずにいろなんて無理だよね。
「永田、プライベートジェット機はどこだ。」
「あちらにございます。」
どうやらジェット機に乗るつもりらしいが、
滑走路に置いてあるため少し遠い。
そのため、歩かなければならないようで。
「カベ、乗るならさっさと乗ろうぜェ。」
「あー暑い。今日熱帯雨林なんだけど!
ゴロちゃんゲンカーイ!!アイス食べたい!」
熱帯雨林じゃなくて…熱帯夜、かな。
雨林にしてどうするんだ。
「……確かにそうだな。一。
瑞希を運んでジェット機に乗せろ。」
「無理だって!B6で一番大きい瑞希を
抱えられるかよ!」
「ならばさっさと起こせ。」
「そんな方法あったらやってるってーの!」
兄さんはフラフラしている瑞希を
支えながらむすりと怒る。
うーん……どうすればいいんだろう。
「何か、簡単に起こせる方法無いかな。」
僕が呟くと、みんなそれぞれ考え始める。
「特大のトゲー人形を用意するのはどうだ?
もちろん、純金でな。」
翼が自信満々に言う。
…………瑞希が喜ぶ絵が想像出来ない。
「いや、寝てる間にゴロちゃん
パパッとメイクするのはどう?」
それは悟郎がやりたいだけでしょ。
「音楽で叩き起こすのはどうだ。
勿論、ヴィスコンティのCDを
かけるから安心しろ。」
瞬、空港でやったら叱られちゃうよ。
「オレ様の悪戯をありったけ
仕掛けてやらぁ!」
瑞希がキヨの悪戯に
引っ掛かったことないじゃん。
「……………うーーん………。」
どれも成功しそうにないなぁ。
どうしよう。僕が悩んでいると、
瑞希を支えながら兄さんが呟く。
「………そんな事しなくても、
瑞希がびっくりするような話すれば
起きるんじゃねーの?」
「…………びっくり、か。」