第7章 8月『Side story with B6』
「さて、ヘリに乗るぞ。
これからまた、別の場所に行くからな。」
翼の掛け声で、皆ヘリに乗り込んだ。
「、おいで。こっちこっち。」
すぐに兄さんに招かれて隣の席に座る。
兄さんは僕のシートベルトを締める。
カチャリ、と金属音を合図に
翼が永田さんに言う。
「永田、出せ。」
「はい。翼様。」
バラバラバラ、と大きな音を立てて
ヘリが飛び立つ。
窓の外を見ると、
プールの建物がどんどん遠くなっていく。
「……………わぁ。」
太陽はもう沈みかけていて、
黒い地面にピカピカと電灯が光って、
それが一つの絵になっていく。
所謂………夜景、だ。
ポン、と頭に手が置かれ、
上を見ると兄さんが優しく頭を撫でた。
「綺麗だな。」
「…………うん。」
僕達の乗せたヘリはまだ
着陸はしないようで。
僕と兄さんは暫く夜景を眺めていた。
「降りるぞ。」
「ポペラ了解〜っ!」
着いたのは空港だった。
翼の掛け声で皆一斉に降りる。
遠くで、一般旅客機が
滑走路を走っていた。
翼が最初に降りて、
次に清春、悟郎、瞬、兄さん、
僕の順で降りた。
………あれ?
「……瑞希は?」
僕が聞くと、皆辺りを見渡した。
「あり?いねぇな。」
「マダラだけプールんトコに
忘れてきたんじゃねェーの?」
「そんな事ないって!
ゴロちゃんが乗った後に
ミズキが乗ったんだし……」
「だったら……寝てるかもな。」
瞬がそう呟くと、兄さんがヘリに戻る。
少しして寝ぼけた瑞希が降りてきた。
「…………ん……。」
「ほら、瑞希!しっかりしろって。」
「…大丈夫?瑞希。
眠いの?」
瑞希は半分寝ているせいか、
降りても、フラフラしている。
声をかけると、瑞希と目が合った。
「……、
………おやすみ。」
「……え?……えっと、
おやすみ。」
僕がそう言うと瑞希は
半分空いていた目を閉じる。
「………ぐう…………」