第7章 8月『Side story with B6』
「……………………。」
私がポカンと口を開けて黙っていると、
その女の子の眉間にシワが寄る。
「…………先生。聞いてますか?」
「え!?あ……も、も、勿論よ!!
可愛いなぁ、とか全然思ってないし!!」
「……………………………。」
私がそういうと女の子の顔が歪んでいき、
一君の後ろにまた隠れてしまった。
「だよなぁだよなぁ!
可愛いよなぁ!
普段結んでる分、髪下ろすと
また雰囲気変わるよな!!」
一君が私に目を輝かせて言う。
「ちなみに、ゴロちゃんが
結んであげたんだよ!えっへん!
レイ、前髪短めだから、
編み込むの大変だったんだからね!!」
え………、君?
「……もしかして今の女の子、
君なの?」
「…………もう知らない。」
君は少しだけ顔を出して
私をジッと睨むと、また一君の背中に戻る。
「…あーあ。が拗ねちゃった。
センセのせいだよ、まったくもう!」
悟郎君が舌をベーッと出して
私の方を呆れ顔で見る。
どうやら、私は何か君の
気に障る事を言ってしまったらしい。
「………ごめんなさい。
君とはあんまり話したことないから、
分からなくて……」
私が俯くと
悟郎君の隣にいる瑞希君が
ポツリポツリと呟いた。
「……でも…。
さっきから…ご機嫌……ナナメだった……。
気分転換……必要……。」
瑞希君が呟き、
目線が私から君に移る。
私も目を移すと、
一君が私に背を向けて
澪君に向き合っていた。
「、よしよし。」
「………………ん。」
そして一君が君の
頭を優しく撫でる。
君も受け入れているのかなんなのか
パーカーから少し出ている指で
きゅっと小さく拳を作っていた。