第7章 8月『Side story with B6』
車で移動すること数十分。
大きな建物に到着した。
「………大きい。」
7人で使うには果てしなく大きい。
観光客や家族連れがこぞって来そうな、
5回建てほどの巨大な建物だ。
流石翼発案の真壁スケール。
「さてと、着替えるか。永田!」
「はい、翼様。」
永田さんが誘導し、建物の中に入る。
ちなみに、キヨはさっき車で別行動して、
南先生に睡眠薬を試しに行った。
まぁいっか。
キヨが先生と遊んでくれれば、
僕をプールに呼び込もうとする事は
滅多になくなるし。
「………………翼、ハワイの砂って
どのくらいあるの?」
「500kgほどだ。
プールサイドに敷き詰めてあるぞ。」
「…そうなんだ。」
ならば、誰にも邪魔されず
プール以外の遊びでもしようかな。
「ー、行こうぜー。」
「………うん。」
兄さんに手を引かれて更衣室に入った。
「おおー!っ!!可愛いぜ!」
「………むぅ。」
僕が今、着ているのは昨日準備した
プール用のパーカー。
フードを被ると、ペンギンの顔が付いていて、
まるでペンギンの着ぐるみを
着ているように見える。
ちなみに水着もペンギン柄で、
スパッツのような長さで尻尾もついている。
「ペンちゃんかわいいぜペンちゃん〜。」
まぁ、これを着るということは、
兄さんのアニマルマスターという目で
愛でられるという行動がもれなくついてくる。
瞬は当たり前のように海パンだ。
僕も人目を気にせずそうすれば良かった。
「兄さん、暑い。」
「いいじゃん〜
ペンちゃんマジで似合ってるぜ〜。
よーしよしよし。」
兄さんは頭をわしゃわしゃと撫でる。
折角髪を結んだのに、
はんば乱暴に撫でられたせいで
髪のゴムが床に落ちた。
「あっ……取れちゃった……。」
僕がそう呟くと、悟郎が後ろから
飛び出し、床に落ちたゴムを拾った。
「じゃあゴロちゃんが結んであげる!」
「え、いや……そういうのはいらな………」
「確保っ!」
「うわぁっ!!」