第7章 8月『Side story with B6』
「おはよう、永田さん。」
「さん。おはようございます。
さぁ、こちらへ。」
プール道具と貴重品を持って、家を出る。
永田さんがリムジンの扉を開けてくれた。
「うん、ありがとう。」
お礼を言ってリムジンの中に入ると
B6が揃っていた。
翼がふくれっ面で僕を見た。
「遅い!」
「………遅くない。」
ふくれっ面の翼に膨れ返した。
リビングの窓からリムジンが見えたから
インターホンが鳴るの前に出て来たのに。
これ以上早くするなんて無理だ。
「全く……。の家に俺が近付いたら
Alarmが鳴るように設定しておけ。」
「……勘弁して。」
それで、家に入ってアラームが鳴ったら、
うるさいって怒るんだろうな、きっと。
「まぁまぁ翼!真夏日に外で待ってろー、
なんて言えねぇし。
その辺は多めに見てやれよ。
、おいで。」
「………うん。」
兄さんの隣に座り、車が発進する。
兄さんが僕の頭を撫でた。
兄さんとの電話は毎日しているけど、
会うのは二日ぶりくらいだ。
僕にとっては、
兄さんと会っていない日があるのは
とても新鮮だった。
「そうだよレイ!ツバサね、さっきまで
『そういえば、は、
水があまり得意ではなかったな……』
とか呟いてたのにさぁ」
悟郎が翼を茶化すように言う。
隣の瞬もにやりと笑った。
「その通りだ。どうせ来るかどうかが
心配だっただけだろう?」
「…………煩い!
とにかく、俺をあまり待たせるんじゃない!」
むすりと翼が顔をしかめる。
「………分かったよ翼。気を付ける。」
僕が翼の顔を見てそういうと、
翼は顔を逸らした。
「………フン。」
今日も翼はツンケンしている。
でも、嫌なら追い出すだろうし、
追い出されないところを見ると
あんまり嫌だとは思っていないのかな。