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弟バカと兄バカ【VitaminX 原作沿い 】

第2章 4月『沈黙の少年』







「……………ご飯、美味しかった。
温泉も最高。」

高級そうなセミダブルベッドの上で
僕がそう言うと、隣で寝転んでいる
翼は満足そうに頷いた。

「そりゃあそうだろう。…ここは
真壁財閥のコッシーの三ツ星旅館だからな!」


………屈指って言いたいのかな?


「…うん。凄くよかったよ。ありがとう、翼」

言い間違いくらいはスルーしている。
あまりに意味が違うのは言うけど、
基本的につっこまないようにする。

なんでって…B6全員につっこんでたら
疲れるから。


「………へっくし。」

僕がくしゃみをすると、
翼が心配そうに起き上がる。

「………風邪か?」

「ううん、平気。」

「……………………。」



僕を見つめる翼はまた寂しそうな顔をする




「…………。」


翼が僕を呼ぶ。





「……なに?」


直感的に何かしなきゃいけないことを感じ、
翼に近づいて、膝の上に跨る。


「………………ッ。」


翼はそんな僕を思い切り抱きしめる。

やっぱり今日の翼、何か変だ。

でも、聞いてもきっと答えてくれない。



「………ここにいろ。俺の傍に。ずっと。」


上から僕に語りかける言葉は
きっと町中の女の子が振り向くような愛の囁き

でもそれを言う翼は儚く壊れそうだ。




「…………うん。」







僕がそう答えると、翼はフッと笑った。


「……今日は俺の抱き枕にしてやる。
光栄に思え。」


そう言ってベッドに倒れ込み、
布団を上から被せられる。

差しだされた腕に頭を乗せれば、
腕枕の完成だ。


翼はぎゅうぎゅうと僕を抱きしめてくる。

少し苦しいけど、
翼の体温が暖かくて、安心する。

翼も同じ気持ちだといいな。




翼に包まれた暖かさを感じながら
ゆっくり目を閉じた。



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