第6章 8月『和解?』
スタジオにつくと、ヴィスコンティの
メンバーが待っていた。
「君。久しぶり。」
「………おはようございます。裕次さん。」
「新曲、君が
作曲したんだって?
驚いたよ。それと、ありがとな。」
「…………いえ。」
金髪で蒼い目の彼は
ヴィスコンティのボーカル、裕次さん。
裕次さんって、凄くカッコイイんだよね。
でも、瞬と一緒にヴィスコンティを
やっているだけあって練習には
かなりストイックだ。
本番では堂々と歌い上げ、観客を魅了する。
僕が瞬の隣で頭を下げると
裕次さんはにこりと笑った。
カッコイイ上に優しい。
僕の憧れだ。
「………シュン、またこの子?
ただの子どもが私達の音楽を
分かるはずがないわよ。」
「…………。」
この人はドラムの芙巳さん。
僕の事、よく思ってないらしく
いつも睨みつけてきて
ちょっと怖い。
瞬の服の袖を握った。
「…気に入らないなら出ていけばいいと
いつも言っているだろ。」
「………ッ、別に、そんなんじゃないわよ!」
瞬が僕を庇うように言い、芙巳さんは
さっさとスタジオに入っていく。
「ま、待てよ芙巳!!」
走っていく黒髪の男子はマナブさん。
芙巳さんの事が好きらしい。
……そのせいか、芙巳さん同様、
僕の事が嫌いだ。
「ちーっす、アレ?その子誰?
………シュンさんの弟さん?」
こげ茶の髪に金髪のメッシュの入った彼は……
あれ、初めて見る顔だ。
誰だろう。瞬、またメンバー変えたんだ。
「違う、コイツは俺の友達だ。」
「……どうも。」
瞬に紹介されて、ぺこりとお辞儀する。
「あー!この子が新曲の!へー、
可愛いじゃん。いくつなんだ?」
僕の顔をのぞき込むように
至近距離で見られる。
むむ、か、可愛いって…言われた。