第5章 7月『ピアノとBBQ』
「こぉぉおらぁあああ〜〜!!!
学校で流しそうめんは禁止ーー!!」
「…………ん?なんだ?」
竹が刺さっている窓の外から
大声が聞こえる。
僕がこっそり窓から覗くと、
ピンクのスーツが見えた。
「……南先生?」
「あっ!!君!!?
あのね!翼君にっ!
今すぐこれをやめてって
言ってちょうだい!!」
南先生が僕に向かって大声で叫んでいる。
「何故ですか?」
僕が首を傾げると、
南先生はさらに大声をあげた。
「ClassAの教室の真ん中に
流しそうめんの竹通したでしょ!
窓は開けっ放しだから
冷房が効かなくて大変なのよ!」
「…………あぁ、なるほど。」
翼のやりそうなことだ。
きっと、先日のスポーツ大会の
憂さ晴らしなんだろうな。
……まぁ、僕もそれを聞いて
少し気が晴れた。
「…翼、そうめんってあとどのくらい?」
「そうだな…俺はそろそろ飽きてきた所だ。」
「俺は満足だ。腹いっぱい食べれた。」
「ゴロちゃんもー!パラッペ食べた!」
「よし、永田!片付けろ。」
「かしこまりました。翼様。」
永田さんが全員のめんつゆを集める。
皆めんつゆを渡して、
いつも通りのソファーにだらりと座り始めた。
そろそろ流しそうめんは終わりらしい。
僕は窓の外で待っている先生に声をかける。
「………もう片付けるそうですよ。」
「本当!?ありがとう君!!」
「…いえ………。」
僕のおかげじゃなくて、
ただ、みんなが満腹なだけなんだけどな。
「君がいて助かるわ……ふぅ。」
南先生が私にお礼を言いながら汗を拭く。
外、暑そうだな………。