第5章 7月『ピアノとBBQ』
「、ほら、めんつゆ。」
「ありがとう。」
今日のお昼ご飯は流しそうめん。
めんつゆを受け取り、
兄さんの隣に立った。
バカサイユに置かれた竹は、
バカサイユの窓から飛び出して
外まで伸びている。
…………そして言うまでもなく、
竹は金色だ。
おそらく、金で出来ているのだろう。
「……これ、どこから流すの?」
「屋上からだ。山田が流す。」
………わぁ、これ、屋上まで続いてるのか。
よく繋げたなぁ……。
「……永田、流せ。」
「……かしこまりました。翼様。」
永田さんがトランシーバーで
指示を出し、少ししてから
そうめんが流れてきた。
兄さんがカチカチと箸を鳴らす。
「お!きたきた!!」
しかし、そのそうめんは
まるで虹のように透き通っていた。
………というか、虹色のそうめんだ。
「………キレイ。」
金色の竹に反射して
余計に神々しい雰囲気を持つそうめんは
ゆっくりと水により流れていく。
ぼんやりとそうめんを見ていると、
翼が高笑いした。
「ハーッハッハッハ!!
お前が色付きのそうめんがいいと言ったから
虹色のそうめんを作らせた。
山田のこだわりで味はそれぞれの色で
ダシの味に分けてあるらしいぞ。
たしか、かつおやら茶やら
なんやら言っていたな。」
「そうなんだ。楽しみ。」
僕が隣の翼と話していると、
反対側にいる瞬が箸をギュッと握った。
「おい!来たぞ!」
…………そうめんを睨む瞬の目、本気だ。