第5章 7月『ピアノとBBQ』
そして、七夕当日。
「おおー!でけぇ!!!」
「よくこんなに大きい笹を
バカサイユに入れたな。」
「………瑞希よりも大きい。」
朝、登校してから
翼にバカサイユに来るように
言われて顔を出すと、
そこには大きな笹が飾られていた。
「IwateのAmazonから取り寄せた笹だ。」
「アマゾンって、アメリカにあるあれか?」
翼の言葉に瞬が首を傾げる。
「あ?カナダだろ。キシシシッ」
キヨが瞬を見てにやにやと笑う。
「バッカじゃねーのォ?ンな事も
分かんねぇのかよナナ!!」
「いや!絶対アメリカだ!
お前こそ間違ってるだろ!」
…………いや二人とも違う。
アマゾンはアメリカでもカナダでもない。
「………………えっと。」
………ここは瞬とキヨが喧嘩する前に
止めておこうかな。
「………南アメリカじゃない?
ブラジルとか、コロンビアとか。」
「………フン、なんだ。
やっぱりアメリカじゃないか、
馬鹿はお前だな、仙道。」
「…………チッ!うるせぇよ!!」
瞬が得意げにニヤリと笑い、
キヨが唇を噛み締めている。
…………ううーん、なんていうか。
「…瞬、南アメリカはアメリカじゃないよ。」
「……なんだと!?ならば
何故南アメリカと言うんだ!
詐欺だろう!!!」
「ケケッお前も違うじゃねーかよ!
ざまぁみろってんだ!!
ナナのヴァーカ!!!
オレ様の方がマシだってーの!」
「…………どっちもどっちだよ……。」