第5章 7月『ピアノとBBQ』
「…………………。」
に成績を渡すという
仕事が終わって帰路につくものの、
考えるのはの事ばかり。
「去年、辛かっただろうな。」
ぼんやりと呟く。
クラスメイトにも、担任にも見放されて
一人で耐えてきたなんて。
B6や草薙がいなかったらと思うと鳥肌が立つ
………だからこそ、
は、B6を大切にしていて、
B6からも大切にされているんだ。
斑目が俺にを渡すまいとするのも
少し理解出来た気がした。
「……………嫌がらせ、か。」
………確かにはClassAの中で
皆とは距離を取っていると思っていた。
だが、それは距離を取っているのではなく
相手から距離を取られていたのかもしれない。
ClassAは成績優秀者が集められたクラス。
一年間だけでそう簡単にクラスメイトが
変わったりはしない。
去年から引き続きClassAの生徒も多い。
は去年嫌がらせされていた生徒と
一緒に学校生活を送っているんだ。
「…………だったら俺は。」
その生徒達に分かってもらうしかない。
が本当は良い奴だって。
は確かに何事にも無関心だし、
いつもポーカーフェイスで何を考えてるのか
良くわからない。
でも、真剣に向き合えば、
答えてくれることだってあるんだ。
この前の体育祭でもそうだ。
は俺のために体育祭に出たと言った。
ちゃんと俺がに
向き合っていたから応えてくれたんだ。
だから、
「……俺が橋渡し役になればいい。」
少しずつでいい。
をクラスメイトの
一員だと認めさせてあげたい。
そうすれば、あんな泣きながら
ピアノを弾くこともなくなるハズだから。
「その前に、反省しなきゃな、俺も。」
あの小屋に入らなければ
とちゃんと話せたかもしれない。
今度会ったら、それを最初に謝らなきゃ。