第5章 7月『ピアノとBBQ』
『あ、もしもし、?
良かった。繋がって。』
「……………………はい。」
『あのさ。できたら…今日来て欲しかった。
終業式はともかく成績表渡せなかったし。』
「……………。」
真田先生は大声を出す訳でも
愚痴る訳でもなく、僕に淡々と説教した。
『成績渡せないのは俺も困るっていうかさ…。
成績は個人情報だろ?だから
ちゃんと渡さないと俺も安心して
夏休み取れないんだよ。
も保護者印押さなきゃいけないし、
困るだろ?お互い。』
「………………。」
先生は、僕じゃなくて、
僕の成績を見ていたんだ。
だから、先生は僕の事なんか
初めから見ていなかったんだ。
良く考えたら、僕の事を
付きまとい始めたのも
瑞希に言われて去年の成績を
見たからじゃないか。
だから、表向きはそうやって
付きまとうフリして、
本当は先生も、僕の事迷惑なんだ。
嫌いなんだ。
だったら、こんな、
連絡すること無いじゃないか。
前の担任みたいに、成績だけ見て、
僕の事無視して蔑めばいいさ。
『それにさ、。ちゃんと
見て欲しいものもあるんだ。だから……』
「………煩い。」
『………へ??』
そっちがその気なら、僕だって。
「…もう僕に関わらないでください。」
『………え?それって、どういう……』
「さようなら」
嫌われるくらいなら
こっちから嫌ってやる。