第4章 6月『緊張』
に頭を下げると、
からまたため息が聞こえた。
「はぁ……別に、先生が謝る必要は無いです。
子ども相手にみっともないので
頭上げてください。」
ぐいっと、下げられた頭を
の手で押し上げられた。
顔を上げると、
が俺から目をそらす。
「大体……僕が出るって
言ったんだからいいでしょ。」
「…なんで出ようと思ったんだよ、
体育祭。」
目を逸らしたままのに聞く。
「………俺、ちゃんと言ってくれれば、
無理には進めなかったのに。」
俺が顔を俯くと、の顔が少し歪む。
俺に答えるように、
は言葉を紡いだ。
「……そんな事、言わないでください。」
「え?」
「僕、真田先生のために出たのに…
そんな悲しそうな顔されたら、
出た意味ないじゃないですか。」
「……………な、」
お、お、俺のために!?
、何言ってんだよ。
おかしくなったのか?
俺が驚き過ぎて言葉が出ない様子を
見ていないのか、は話を続けた。
「……それに、僕、これでも
緊張しなくなった方なんです。
昔から、兄さんの後ろにいたから
前に出た事がなくて。」
「でも、少しずつ色々挑戦して
乗り越えて来たつもりです。
……今回も、ちょっとやってみようと
思っただけですから。……まぁ、
あの通り失敗しましたけど。」
「………………………。」
が今までこんなに喋ってくれた事、
あっただろうか。……いや、ない!
しかも、そんな風に考えてたなんて……っ
自分の欠点を克服しようと、
自分なりに一生懸命やって………くぅ!!
泣かせるじゃんかぁあ!!