第2章 4月『沈黙の少年』
始業式から数日後。
放課後に僕がバカサイユで
読書を楽しんでいると、
バタンとドアを開ける騒音がして、
強制的に読書は中断された。
「こらーー!補習受けなさーーーい!」
バカサイユに大声を
出して入ってくるClassXの担任。
名前は南 悠里先生。
中等部から左遷されてきた先生で
僕が中3の時に聖帝に来た先生だ。
………最後に出て行ったのは悟郎だ。
きっと鍵を閉め忘れたのだろう。
「あれ…誰もいないじゃない。おかしいわね」
南先生はキョロキョロしながら独り言を呟く。
誰かを探しているようだが…
その相手は不在のようだ。
「本当に逃げ足だけは速いんだから…。」
「それにしても、やっぱりすごいわ、
この宮殿も、B6も。」
「はぁ…みんな顔は最高なのに
どうしてあんなに馬鹿なのかしら…勿体ない」
「………………。」
南先生は僕のことに気付いていないらしい。
ブツブツと独り言を言いながら
机の下や椅子を覗いている。
「それにしても、あの草薙君のお兄さんが
ClassXだなんて…意外すぎるわ。」
「草薙君は容姿端麗、成績優秀、
運動もできるし何もかも完璧な天才。
聖帝きっての神童だって言われていたのに…」
「そのお兄さんは私の名前すら
覚えてくれない記憶力の無い子
だなんて……ね。」
南先生はソファの近くで、
はぁ、とため息をつく。
「でも、その草薙君もB6の一員なのよね。
意外だわ。こんな所に入り浸って、
授業にも休みがちだなんて……。
中等部とはまるで違うじゃない。
彼にも色んな話を
聞かなくちゃいけないわ……。」
「色んな話って何ですか?」
「ってきゃああああ!!!」
「___い"っ」