第4章 6月『緊張』
「まぁ、倒れたって聞いた時は
やっぱりなって思いましたけどね。」
「……え?」
「だって…そうじゃないですか。
大勢の前で3分喋るのでも
冷や汗ダラダラのが、
観客の前で走るなんて、無謀ですよ。
入場門で顔真っ青だったし、
ああ無理かもなって思ってました。」
「…………………。」
そう言われて、
今日のの様子を思い出す。
……はいつも大人しいタイプだけど、
今日は一段と言葉少なくて、
静かというよりは暗かった。
もしかして、朝から緊張しすぎて
体調悪かったのかも……。
「俺………馬鹿だ。」
の事、
全然気付いてやれなかった……。
坂下から目を逸らして肩を落とす。
よくよく考えたら、体育祭に誘う時も、
がどうして
体育祭が嫌なのかなんて
考えてもいなかった。
俺はただ、出させることばっか考えて…
校内アナウンスが流れる。
『……騎馬戦の出場者は入場門に
集まってください。』
「……あ!ハジメ先輩の競技だ!
先生、俺テントに戻りますね!」
「……………お、おう。分かった。」
「そうだ。、ClassXに行くって
言ってたんで、もしかしたら
行けばいるかもしれませんよ。それじゃ!」
坂下は俺にそう言い捨てて走っていく。
廊下を走るな、って言う気力もなく
俺はそのまま坂下が校舎を出ていくのを
ぼんやりと見ていた。