第12章 膨らんだ気持ち
マルコに、好きって言っちゃった...。
何も考えずに出たってことは、本音...なのかな。
好きなのかな、マルコのこと。
どうなんだろうとマルコの顔を思い浮かべれば、顔が熱くなっていく。
エースやサッチさんの顔を思い浮かべても普通なのに...。
やっぱり、マルコだけ違う。
「分かんないよ...」
今まで抱いたことのない気持ちに、ただただ困惑する。
「あの、お客様」
「はい?」
扉越しに声を掛けられる。
女将さんかな?
軽い思いで扉を開けた。
「え?」
手には拳銃、そして私の手配書。
この人達、カタギじゃない。
そう気づくや否や窓から宿屋を飛び出す。
ここは2階。
幸い飛び降りても、能力を使わずに着地出来る。
スタッ、と静かに着地をするととりあえず茂みに身を潜めた。
なぜバレた?
そう目立つ行動はしていなかった筈。
「まずはマルコと合流しなきゃ...」
身を隠しながら街の方へ進んでいく。
この目立つ髪を隠すものを持ってくれば良かった。
この髪のせいでジロジロと見られる。
きっと、一目でよそ者だと分かるのだろう。
さっきから周りの視線が痛い。
「あ、マル...」
目的の人物を見つけ、声を掛けようとした。
目の前にはマルコが居て、でもその隣には黒髪の女の人が居た。
マルコと腕を組んで。
胸の中で、得体の知れない黒い何かが姿を現す。
ムカムカして、ドロドロして、凄く不快だ。