第12章 膨らんだ気持ち
あの告白のあと、熾天使はずっと部屋の隅でうずくまっている。
「うぅ...」
さっきの言葉が意識してなかった、熾天使の本音だとしたら...。
そう思うだけで心が浮上する。
「熾天使」
「うぅ...」
何度呼びかけてもこっちを向かず、唸っているところを見ると本音なんだろう。
「本音なのか?」
肩を掴み、無理矢理俺の方を見させる。
「っ...」
目が合えば、これ以上ねぇ程に顔を赤らめ、視線を逸らす。
目は涙で潤んでいる。
「わ、分からないの...。
気づいたらそう言ってて...好きとか、ほんとに...」
一生懸命訴えかける。
「分かったから、そんな泣きそうな顔すんなよぃ。
俺はちょっと外出て来るから、その間に落ち着け」
「分かった。
ごめん...マルコ」
少なくとも、熾天使の中で俺に対する気持ちが変わってんのは確かだねぃ。
だとしたらあとは自分で気づくまで待つ他ねぇな。
熾天使の頭を撫でると、服を羽織って宿屋を出た。
望みの見えて来た恋に、少し口角が上がる。
「この歳にもなって、情けねぇよぃ」
自分の心臓が、バクバクと煩いことに気がつく。