第9章 笑顔
ただの女好きじゃないんだな。
白く丸い皿に乗ったパスタを見て思う。
「サンジのメシは美味しいぞ〜」
早速頬張っている船医。
「…あぁ、貰うよぃ」
眠る熾天使の横で静かに食べる。
サッチの料理も旨ェが、黒足が作る料理もなかなかだった。
「サンジは女好きだけど良い奴なんだよ、料理もうめーし!」
「あぁ」
「ルフィは強くて、とにかく明るくて、信頼出来る奴なんだ!
あ、でも何かとトラブル引き起こすけど」
「あぁ」
「ゾロはどんな重いものでも持ち上げて、努力を怠らない、かっこ良い奴なんだよ!」
「あぁ」
「ナミは厳しいけど、凄い航海術を持ってて予想を外さないんだ!」
「あぁ」
「ウソップは狙撃が凄いんだ!
狙ったものは外さない」
「あぁ」
「ロビンはすげー頭が良くて、優しくて、でもたまに怖いことも言うんだけど仲間想いなんだ!」
「あぁ」
「フランキーは船大工で、その上サイボーグで!
熱い漢なんだ」
「あぁ」
「ブルックは骸骨なのに喋れて、音楽家なんだ!
色んな楽器を弾ける。
皆俺の大事な仲間なんだ」
「そうか」
「……」
いきなり喋り出したと思ったら、今度は急に黙り込んだ船医。
「お前、良い奴だな」
「俺が?
なんでだよぃ」
「俺の話を飽きもせずずっと聞いてくれて、ずっとずっと相槌もしてくれて…優しいんだな、お前!」
「…そんなことねェよぃ。
それに本当に優しいのはお前ェだよぃ。
仲間の好きなところそんなに言える奴、優しい以外のなんでもねェ」
「えへへ、優しいかぁ…」