第8章 敵襲
場所は変わり、敵船内。
「おい、マルコ!」
「なんだよぃ、エース。
話しかけるとは随分余裕そうだな」
「船の方、なんかやばくねェか?」
「熾天使が居るんだよぃ、何を心配する必要がある」
互いに動きながら会話する。
「いや、そうだけどよ…。
船の中にはわりと新人の奴らも多く残ってるだろ?」
「あぁ」
「初めての戦闘の奴も居るし、まともに戦えると思うか?」
「怖ェなら奥へでも引っ込ませりゃ良いだろうよぃ」
「なら良いけど。
一応そっちの様子も見ながら戦った方が良いと思うぜ、マルコ。
俺の勘だ」
「へいへい。
お前の勘は当たらねェからな。
でもまぁ、一応気にしてやるよぃ」
「おう」
エースに言われたあと、チラリと甲板に目を向けた。
目に入ったのは赤と白。
つまり戦っている熾天使と、海軍だ。
「羽織してるってことは海軍将校か…。
こっちが終わったら、戻るとするかよぃ」
この時はそう思っていた。
後ろにクルーの命を抱えるということが、熾天使にとってどんなに大きなことか分かってはいなかったんだよぃ。